カテゴリー7ケーブルのウソ

LANケーブル
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LANケーブルのカテゴリー

カテゴリー、CATなど表現は様々ですが、LANケーブルにはカテゴリーという分類がされていて、主に通信可能速度が異なります。

ざーっくりとカテゴリーと通信速度をまとめました。

カテゴリ(Cat) 最大通信速度 伝送帯域
カテゴリー5(Cat.5) 100Mbps 100MHz
カテゴリー5e(Cat.5e) 1Gbps 100MHz
カテゴリー6(Cat.6) 1Gbps 250MHz
カテゴリー6A(Cat.6A) 10Gbps 500MHz
カテゴリー7(Cat.7) 10Gbps 600MHz
カテゴリー7A(Cat.7A) 10Gbps 1000MHz
カテゴリー8(Cat.8) 40Gbps 2000MHz

つまり、一般的に販売されている有線LANハブやルーターは1Gbpsなので、カテゴリー6までのケーブルで十分です。

ややこしくなるのはその先の話です。
実はここまでお話ししたカテゴリーとはケーブルだけの話。LANケーブルには両端にコネクターがついています。
LANケーブルの両端に使用されているコネクターはRJ45という規格で8極8芯もしくは8極4芯のものが使われています。
(8極=8個に分かれていて、8芯=8本のケーブルが接続されている、4芯=4本のケーブルが接続されていること)

RJ-45のウソ

現在RJ45として知られるものは本来、ANSI/TIA-1096-AやISO 8877で規定された「8P8C」と呼ばれるコネクタ規格で、本来のRJ45規格とは異なる別のものである。「本物の」RJ45はFCC(米連邦通信委員会)が定めた電話回線向けの8極2芯のコネクタである。
引用:IT用語辞典-イーサネット-RJ45

この記載の通り、RJ45という規格は「8極2芯」であり、よく見る4芯や8芯は真のRJ45とは言えないものです。

といっても、一般的に浸透しているRJ45は8極8芯であり、広義のRJ45なのでまぁまぁよしとしましょう。

RJ45(広義)はカテゴリー7以上には対応していない

ここからのRJ45は広義の意味でのそれを指し、8極8芯の形状のものとして話を進めます。

実はカテゴリー7ケーブルの性能はRJ45(広義)ではすべてを発揮できていません。

Q3
RJ45プラグ付の「Cat.7」と表記されたパッチコードが販売されておりますが、これについて教えてください。
これは、Cat.7の性能はあるのでしょうか。

A3
RJ45プラグではCat.7性能を満足することはできません。
よって、これは不適切な表現であり「誤表記」と考えられます。
Cat.7性能を満足するプラグは、一般的にTERA、GG45、ARJ45コネクタであり、よって、「Cat.7」と表記された RJ45プラグ付コードは、Cat.7の性能を満足しておりません。
引用:一般社団法人 電子情報技術産業協会 LAN配線の疑問にお答えします

この通り、実はRJ45(広義)でも、カテゴリー7のケーブル性能はすべてを満たすことはできておらず、販売されているカテゴリー7以上のケーブルは、「ケーブルは性能を満たしているが、コネクターは満たしていない」という結果になっているのです。

じゃぁ対応しているコネクターは

先に紹介した「一般社団法人 電子情報技術産業協会」の資料によると、少なくともカテゴリー7を満たしているコネクターは「TERA IEC 61076-3-104」、「ARJ-45 IEC 61076-3-110」、もしくは「GG-45 IEC 60603-7-7」となっています。
そしてこれらはすべて、RJ45と互換性はない、もしくはRJ45として使用した場合はカテゴリー7として使用できないものになります。

ということは

つまり、RJ45のコネクターである以上、最大速度は10Gbpsであり、それを満たすケーブルはカテゴリー6Aのみ。カテゴリー7、カテゴリー7A、カテゴリー8のケーブルを購入したとしても、ケーブルはそうとしても、コネクターが満たしていないものとなります。

といっても各ケーブルは8芯で構成されているため、電気的な疎通はできますし、パソコンの画面で遅い速度が表示されることは多分ありません。
また、LANケーブルの最大通信速度はあくまでも最大通信速度であり、またこれらは理論値となるため、実際にはこの速度が100%出るわけではなく、確認することも一般的にはできません。

今のところはカテゴリー6Aで十分

今後LANケーブルコネクターの形状が変わる可能性もあります。
最近の10Gbps対応の機器ではSFP+(エスエフピープラス)というコネクター形状のものもあります。
SFP+はその先に変換コネクターを接続し、光ファイバーケーブル、もしくはメタルケーブル(RJ45など)に変換して使用するものです。

十数年、もしくは数年後には今のようなLANケーブルに変わって光ファイバーケーブルが主流になるかもしれませんし、そうではないかもしれません。
ちなみにサーバーの世界では一旦高速のネットワーク通信は光になりましたが、その後メタルに戻って、また光が主流になったりしています。

光ファイバーの場合、メタルケーブルと違って減衰が少ないことがメリットですが、ケーブルが高価、折り曲げられない(光の屈折率の関係)などのデメリットがあります。
今後光ファイバーが主流になるかどうかはわかりませんが、とりあえず今のところ10Gbpsの規格のケーブルを購入する場合はカテゴリー6Aで十分そうです。

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